
忙しくて食事を作る時間がないとき、出来合いのおそうざいやお弁当は便利で助かりますね。
でも、買ってきたものだけを食べていると、「栄養バランスが悪いのでは?」と気になりますよね…
管理栄養士である私自身も、忙しいときには、おそうざいやお弁当を利用します。
しかし選び方や食べ方に気をつけて、栄養バランスを整えるようにしています。
また時間がある時に、つくりおきや食材の下準備をしておくことで、短時間で負担なく食事づくりができるように工夫しています。
今回の記事では、忙しくていつもの食事を準備できないときに、管理栄養士はどんな食事を用意して、栄養バランスを整えているのかを紹介します。
毎日の食事づくりで少しだけくふうすれば手軽にできる方法ばかりなので、時間のない時の参考にしていただければ嬉しいです。
【食事まで15分しかないとき】つくりおきやストック利用で栄養バランスを整える
仕事や用事から帰ってきて、すぐに食事を作るのはたいへんですね。
そんな時にあると助かるのが、つくりおきのおかずや下ごしらえ済みの食材です。
時間がとれるときに、野菜をゆでたり切ったり、肉を漬け込んだりしておくと、時間がない時でも少しだけ手を加えれば、すばやく料理を仕上げることができて、とてもラクです。
おそうざいやお弁当を買うと、結構高くつきますが、下準備をしたもので簡単に調理して食べれば、経済的です。
食事まで15分しかないときでも、栄養バランスの良い食卓に整えるためのくふうを紹介します。
作りおきおかずを2~3品用意
最近流行りの作りおきですが、1週間分をまとめて作るというのは、私は負担に感じます。
そのため時間がある時に、酢の物や煮物などを2~3品作って、冷蔵庫で保存しています。
作りおきのおかずがあると、不足しやすい野菜をすぐに食べられるので、とても便利です。
メインのおかずに肉野菜炒めなどパパっとできるものだけ作れば、あとは作りおきのおかずを並べて、栄養バランスの良い食事が簡単にできます。
作りおきのおかずで、欠かさず準備しているのは、酢の物です。
酢の酸味には、疲労回復や食欲増進、代謝アップなどの効果があるので、忙しくて疲れ気味のときや食欲が無いときでも、酢の物があると心身ともにスッキリします。
野菜を切って冷凍しておく
料理をする時に、意外と手間と時間がかかるのが、野菜を切ることです。
野菜を丸ごと買ってきたときやちょっと余ったときは、新鮮なうちに切って、保存袋に入れて冷凍しておきます。
キャベツ、小松菜、人参、かぼちゃなど、ほとんどの野菜は切ってから生のまま冷凍できますが、ほうれんそうなどのアクの強い野菜は下ゆでをしてから冷凍。
しめじ、しいたけ、えのきなどのきのこ類は、冷凍すると長持ちするうえに、うまみが増すのでおすすめです。
切った野菜は凍ったまま鍋で煮て、スープや味噌汁にしたり、きのこ類は炒めものにしたりと、冷凍庫から出してすぐに使えるので、調理時間が大幅に短縮できます。
薬味野菜(青ねぎ、青ジソ、みょうがなど)も刻んで冷凍しておけば、冷奴や切ったトマトなどにのせるだけで、すぐに1品ができあがります。
野菜をゆでて冷蔵庫に入れておく
切った野菜の冷凍よりも、さらに便利に使えるのが、野菜をゆでておくことです。
時間がある時に、野菜をゆでて冷蔵庫に入れておけば、すぐに使えるので、すごく助かります。
副菜や添え野菜に利用すれば、野菜不足の解消に役立ちますし、お弁当にも使えて便利です。
ゆでブロッコリー・ゆでほうれんそう・ゆでいんげん・マッシュポテトなど、下ごしらえずみのゆで野菜があれば、だし醤油・ぽん酢・マヨネーズなどで味つけをするだけで、すぐに食べることができます。
大根や人参、ごぼうなどの根菜類も下ゆでしておけば、短時間で煮物や汁物が作れます。食物繊維をしっかりとることで、お腹の調子を整えて、便秘の予防に役立ちます。
肉、魚を調味液に漬けておく
食事のメインになる肉や魚は、前もって下処理をして合わせ調味料に漬け込み、冷蔵保存しておくと、すぐに使えて便利なうえに、味がしっかりしみこんでおいしくなります。
豚肉のみそ漬けや鶏肉のしょうが醤油漬け、サーモンの塩麹漬けなど、冷蔵庫から出して焼くだけ、揚げるだけの状態になっていれば、イチから調理するより圧倒的にラクで時短になります。
すぐに使わない場合は、漬け込んだまま冷凍しておくこともできます。
冷凍したものは、使いたい日の朝に冷蔵庫へ移して解凍しておけば、夜ごはんに使えます。
合わせだれを作っておく
調理するときに、調味料をはかって合わせるのは面倒な作業のひとつです。
そこで、よく使う合わせ調味料は作りおきしておくと、手間と時間を省くことができます。
おすすめの合わせだれは「てりやきのたれ」。
作り方は、しょうゆ1:みりん1:酒1の割合で混ぜ合わせて、保存瓶などに入れて、冷蔵庫で保存します。(1か月程度保存可)。
甘めが好みの方は、砂糖を少し足して下さい。
鶏肉や魚の切り身をフライパンで焼いて、仕上げにてりやきのたれを加えてからめるだけで、味がバッチリきまった照り焼きのできあがり。
ほかにも炒めものや煮物など、和風のおかずの味つけなら大抵のものに使える万能調味料です。
市販の合わせだれを使うのもいいですが、自分で作ると添加物などの心配がないので、ひと手間ですが作ってみてはいかがですか。
ポタージュスープの素を作っておく
野菜不足を一気に解消したいときに役立つのが、野菜をたっぷり使ったポタージュスープです。
ポタージュスープは、野菜を鍋で煮たものをハンドブレンダーやミキサーにかけて、鍋に戻し、牛乳や豆乳を入れて温めて作ります。
時間が無いときにこの作業をすることはできないので、使い切れない野菜があるときに、ミキサーにかけるところまでをして、1人分ずつ保存容器に入れて冷凍しておきます。
スープを飲む時は、ポタージュスープの素を電子レンジで溶かしてから、カップに入れて、牛乳か豆乳を加えて、さらに温めます。
バタバタしがちな朝食時でも、温かいポタージュスープを飲むと、今日もがんばろうという気持ちになれるから不思議です。
ぬか漬け、即席漬けを漬けておく
時間が無いときでも、さっと食卓に出せて、おいしく野菜が食べられるのが、ぬか漬けや即席漬けなどの漬物です。
発酵食品のぬか漬けは、植物性乳酸菌が豊富で、ビタミンB群などのビタミン類や、野菜のミネラル、食物繊維などもしっかり補えます。
とはいえ、ぬか漬けは毎日かき混ぜたり、管理が面倒なイメージがありますね。
最近は、ジッパー付きの保存袋に入ったぬか床に野菜を漬けて、冷蔵庫で保存するだけの簡単なぬか漬けキットがあります。毎日かき混ぜなくてもおいしいぬか漬けが食べられるので、活用してみてはいかがでしょうか?
ぬか漬けよりも手軽に準備できるのは、野菜の即席漬けです。
キャベツや白菜などの野菜を切って保存袋に入れ、塩やしょうゆ、塩麹・塩昆布など、お好みの調味料を加えて、軽くもんで冷蔵庫で1日程度保存するだけで、サラダ感覚ですぐに食べられます。
漬け物は塩分が気になるかもしれませんが、手作りなら塩加減を調整できますし、添加物なしで作れるので、ふだんの食卓にぜひとり入れてみて下さい。
【食事まで5分しかないとき】買ってきたおそうざいにプラスして栄養バランスを整える
家に帰ってから作る時間も気力もないときは、出来合いのおそうざいやお弁当を買ってきて簡単に食事を済ませたいですね。
でも買ってきたものだけを食べると、野菜が不足しやすかったり、炭水化物をとりすぎたりと、栄養のバランスが乱れやすくなります。
そこで、出来合いのおそうざいやお弁当にプラスすると栄養素の不足を補える食材や、栄養バランスを整えるくふうを紹介します。
たった5分の準備時間で、健康的な食事に変えられますよ。
冷凍しておいた雑穀ごはん、玄米ごはんを食べる
ふだんから主食のごはんは、雑穀ごはんや玄米ごはんを食べることが多いですが、多めに炊いて冷凍保存したものを、買ってきたおそうざいと一緒に食べるようにしています。
雑穀ごはんや玄米ごはんは、白米と比べて、食物繊維やビタミン類などの栄養素が豊富に含まれています。
から揚げや焼きとりなど、手軽に買えるおそうざいは、たんぱく質はとれますが、食物繊維やビタミン類などの栄養素が不足しやすいので、主食のごはんを栄養価の高いものにして補うようにします。
めん類やご飯ものにはたんぱく質が多い食品をプラスする
お昼ごはんや暑くて食欲が落ち気味のときは、ざるそばや冷麺・パスタ・炒飯などのめん類やご飯ものが食べやすいですね。
でもこれらのメニューは炭水化物が多く、たんぱく質が不足しがちです。
そこで、ゆで卵やサラダチキン・冷奴・さば缶・チーズなど、たんぱく質が豊富で、すぐに食べられる食材をプラスして、栄養バランスを整えます。
体づくりの材料になるたんぱく質が不足すると、疲れや夏バテがひどくなり、ますます食欲が落ちてしまうので、気をつけて下さい。
お弁当のごはんは少なめにして、サラダや野菜の煮物などを1品足す
お弁当は、ごはんの量が多めで野菜が少ないものがほとんどです。
40歳を過ぎてから太りやすくなったので、糖質をとり過ぎないために、お弁当のごはんの量は少なめにしています。
その代わりに、サラダや切り干し大根、ひじき煮など、野菜のおかずを1品追加すれば、満足感があるうえに、栄養バランスも良くなるので、一石二鳥です。
お弁当と一緒に生野菜を食べる(プチトマト、カット野菜)
お弁当を食べるときは、生野菜をプラスすると、ビタミンCや食物繊維が補われて、栄養バランスが整います。
洗ったプチトマトを4~5個食べるだけでもいいですし、パッケージを開ければすぐに食べられるカット野菜を利用するのも便利です。
デザートに果物(カットフルーツ)、ヨーグルトを食べる
疲れた日は食後に甘いデザートが食べたくなりますね。
お弁当のあとにケーキやシュークリームなどを食べるのは、カロリーのとり過ぎなので、果物やヨーグルトを食べるようにしています。
果物はビタミンCが豊富なので、体調を整えるのに役立ち、美肌や風邪予防にも効果的です。
みかんやいちご、りんご、キウイなど、フレッシュなものが理想ですが、すぐに食べられるカットフルーツを利用するのも手軽です。
ふだんから、バナナやマンゴー、ぶどう、キウイ、イチゴなどのフルーツを、食べやすい大きさに切って冷凍しておけば、アイス感覚で食べられるのでいいですよ。
便秘気味のときは、ヨーグルトも一緒に食べれば、お腹の調子が整います。
まとめ
忙しいときに管理栄養士はどんな食事を用意して栄養バランスをとっているのかを紹介しました。
時間がない時でも、なるべく負担を感じずに、栄養バランスのとれた食事づくりをするためには、余裕がある時に先取りで準備をしておくのがポイントです。
つくりおきのおかずや切った野菜、ゆでた野菜などが冷蔵庫にあるだけで、心に余裕を持って食事の準備ができます。
またおそうざいやお弁当を買って済ます場合でも、雑穀ごはんや生野菜、果物などをプラスするだけで、栄養バランスが良くなるうえに、ちょっとした罪悪感も解消されます。
毎日の食事づくりはたいへんですが、簡単なくふうで栄養バランスの整った健康的な食事に変えることができます。
時間がないときこそ、おいしくて栄養のある食事をしっかり食べて、元気に乗り切りましょう。
参考書籍
Gakken「冷凍するだけつくりおき」池上正子著
主婦の友社「買った食材あまった食材全部ゆでてストック!ゆでおき」牧野直子監修
家の光協会「ちょこっと漬けもの」石原洋子著